スノーマンは眠らない

 雪がしんしんと降りしきる夜は、雪だるま君がスノーマンランドに帰ることを許された日です。その夜迎えに来てくれた仲間達に、雪だるま君はいいました。
「僕は帰らない」
「このまま地上に居たら、溶けて消えて無くなってしまうんだぞ。再生も出来なくなるんだ。いいのか?」
 皆は必死になって雪だるま君を説得しようとしました。雪だるま君は静かに首を横に振りました。
「あの子の願いを、叶えてあげたいんだ」
 雪だるま君を作ってくれた少年のお母さんは、ずっと長いこと重い病気で入院していました。
 イヴの夜、雪だるま君は空へ一直線に昇って行き、星の神様にお願いを申し上げました。神様は肯いて、雪だるま君に杖をかざしました。
 ぱああああっ。
 明るい光が雪だるま君の体に当り、その体を作っていた一粒ひとつぶの雪の結晶は、空に飛び散って幾つもの小さな星になりました。神様は、誰かの願いを聞くと、その結晶の一粒をそっと空に流します。地上に降り注ぐ流れ星はこうして生まれました。雪だるま君はスノーマンランドに帰ることは出来なくなったけど、誰かの願いをいつも叶え続けているのです。雪の結晶の最後の一粒が消えてなくなるまで、雪だるま君は眠らないのです。

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